第4話 マリーの優しさ

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京都に着いて真っ先に病院へ向かうと、祖母は手術中だという事で、個室になっている待合室に案内された。 最近は仕事の都合で親と休みが合わなくて、何年か京都には来ていなかった。 前に祖母に会ったのは何時だっただろうかと思い出そうとしたが、はっきりとは思い出せなかった。 こんな事になるのなら、もっと沢山会いに来ればよかったと、後悔した。 待合室で待っている間、何回かちらちらとマリーの様子を見たが、何も変化がなくて、数時間後、その事が逆に心配になり出してしまった。 そんな事はないと思うけど……、もし、このぬいぐるみがあのマリーじゃなかったら……? もし、まだあの部屋の何処かに居て、私が帰ってこなくて泣いて溶けてしまったら……? そんな不安が胸を過ぎった。 そしたら……、どうしよう……。 何日も帰れないかもしれないのに、溶けたままで、乾燥してなくなっちゃったら、どうしよう……。 祖母の心配とマリーの心配と両方で、どちらも不安で仕方がない。 そんな時、お昼近くになって、手術が終わった。 そして……………。
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