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「ざみじがっだよ…。」
気持ち悪いと思った瞬間、幼い子供のような声でそう聞こえた気がした。
よく見ると、私の胸にしがみついているその妙な生き物は、泣いているようだった。
訳が解らない事続きでどうしたらいいかも解らなかったが、泣いている子に冷たくは出来なくて、そっとその頭を撫でてみた。
「えっと……、あの……、あなたは、何?」
「ふえっ……」
私の問いかけに顔を上げたが、私と目が合うと、そのつぶらな朱の瞳から大粒の涙がボロボロとこぼれだした。
「えっ! ごめん! なんか、ごめん!!」
自分が泣かせてしまったんだと思い、私は思い切りそう謝っていた。
「……まっ………ぃ………だよ」
「えっ…?」
「まり……っ……、うぐっ……、まり……」
泣きながらも必死に何かを伝えようとしてくるその生き物……。
「マリー?」
まさかとは思ったけれど、そう呼んでみると、その生き物は嬉しそうに私を見た。
その体をそっと自分から離し、そっと机の上に置いてみた。
「まり、まってたんだよ! でも、まっても、まっても、さき、かえってこなくて、ないてたら、とけちゃった」
身長10cmくらいの頭の上に白くて長い耳……。
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