58人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あぁ、そうだった……。その前は? 住んでるところとか……」
「おうち?」
「うん。お家は、どこ?」
「むこう! でも、しゅぎょーをしにきたから、それがおわらないとかえれない」
マリーが向こうだと指を差した方角は、真上だった。
なんか、深く聞いてはいけないような気がして、家の事もそれ以上聞くのをやめた。
「修行? どんな事をすればいいの?」
「まり、へただから、すてられちゃう」
「えっ!?」
「きのうも、まり、すてられた……」
また泣いてしまいそうな瞳を見せたマリーに、私は焦った。
「私は捨てたりしないよ! マリーが何をしなければいけないのかは知らないけど、下手でも大丈夫。私も手伝うから」
「ほんと? さき、まりをすてない?」
「うん、絶対捨てない。約束するよ」
「よかった……。さき、だいすき!」
その可愛らしい顔に、笑顔が戻った。
うん、やっぱりこの子は笑っていた方が可愛い。
「ありがとう、マリー。私もマリーのこと、大好きだよ!」
自然と、口からそんな言葉が出た。
まだ出逢ったばかりの何だか解らない相手に大好きだなんて言うなんて、自分で吃驚したけれど、何故か心からそう思えたのだ。
マリーの正体はなんなのかとか、いろいろ不明な点はあったが、とりあえず様子を見る事にした。
最初のコメントを投稿しよう!