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第5話 再会
マリーに此処は何処なのかという事と今の状況をなんとか解るように説明し、多分半分も解っていないだろうなとは思ったけれど、これからの事を考えた。
親がいつ帰って来るかも解らないし、帰って来たらマリーをどうするか……。
私が悩んでいると、マリーは大人しくしていられるから大丈夫だと言ってくれた。
そして、マリーはお散歩に行きたいと言い出して、悩んだ結果、マリーをトートバッグに入れて散歩に出たのだけれど……。
流石、観光地。
何処に行っても人が沢山……。
そう思いながら、肩からかけたトートバッグをしっかり掴んで歩く。
旅館を出て少し歩くとおみやげ屋が沢山ある通りに出る。
そっちに行ったら余計人が沢山いるからと思い、そこを避けて裏通りを歩いた。
気になってバッグの中をそっと覗いてみると、朱いつぶらな瞳と目が合った。
マリーはにっこりと笑顔を見せてくれたけれど、声は一言も出さなかった。
「大丈夫?」
私は周りに人がいないことを確認すると小声でそう問いかけた。
するとマリーは笑顔のままこくりと首を縦に振った。
そしてふわふわなタオルにくるまって、気持ちよさそうにしていた。
そんな様子を見て、私は少し安心して、また歩き出した。
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