13人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
ーーーー〈大都市・中央広間・鐘の塔前〉ーーーー
翌朝、私達は約束の場所に向かった。
ゴーン!!ゴーン!!
8時を知らせる鐘の音が、街中へ響き渡る。
フェンネル「やぁ、待っていたよ!」
フェンネルは、朝から爽やかな笑顔で手を挙げる。
茜「やっぱりキザね」
紅蓮「まぁまぁ」
フェンネル「早速だが、君達の決断を聞かせてもらおうか」
紅蓮「その前に、質問しても良いですか?」
フェンネル「うん、何なりとどうぞ」
紅蓮「フェンネルは、あの日自分を襲った人が誰か知ってますよね?」
フェンネル「いや?知らない」
茜「嘘言っても駄目よ!白状しなさい!」
フェンネル「本当の事さ、ただ……」
紅蓮「ただ?」
フェンネルは、真剣な顔で躊躇する事なく答えた。
フェンネル「誰かが裏で糸を引いてる事は、薄々気づいてたさ」
琴音「何故、あの時言わなかったのかしら?」
フェンネル「言ったら……君達は、賛成したかい?」
その言葉に!暫し黙り込む。
フェンネル「だから、言えなかった……いや、言わなかったんだ」
茜「私達を騙したのね」
フェンネル「人聞き悪いなぁ~騙してなどいないさ」
嘲笑うように話すフェンネル。
フェンネル「でも、君達なら信じれる気がしたんだ!信じてほしい!」
一変して今度は真剣な眼差しで、私達を見つめるフェンネル。
その眼差しには、嘘偽りを感じられなかった。
紅蓮「やってみます!!」
私も真剣な眼差しでフェンネルを見つめ返す。
フェンネル「それなら、良かった!そう言ってくれると思ったよ!ありがとう!」
フェンネルは、満面の笑顔で一同と握手を交わす。
(コロコロ表情が変わる…忙しい人だな)
フェンネル「それでは、幸運を祈る!目指すは、虹の国"イリス"へ!!」
フェンネルは、腕を大きく広げ鐘の音共に消えて行った。
最初のコメントを投稿しよう!