空を望む

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空を望む

あの日の空を探している 君が溶けた煙を抱いた 薄曇りの冷たい空を 涙を流せばよかったのだろうか 走馬灯は死者が抱く夢ではなく 残された痛みが見せるものだ 高温で消されていく存在に すがり付く事ができたなら 未来を望むことができただろうか 溶けた君は雨粒になり 大地に染みて還ったというのに 骨壺に入りきらなかった骨を抱いて 過去に浸り記憶を辿り いつまでも留まっているだけの 屍と化してしまったのだ あの日、泣きたかった あの日、悟ったふり等すべきではなかった 薄曇りを産み出した雲の中に 囚われてしまったのだから 口づけた骨の欠片は部位すら解らず 己を解放するための文言も知らずに あの日の空だけを探している #星橙の詩
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