番外編 -邪-

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「……怖い顔してる、里見さん……」  内心ドキリとした真也は、咄嗟に何も言えなかった。すると和彦が、ふわりと表情を和らげる。 「仕事をズル休みしたこと、気になってるんだろ」 「気になってたけど、君の寝顔を見ていたら、どうでもよくなった」 「悪い大人だなー」  一緒に寝ようというように、和彦が布団の端を持ち上げたので、甘い誘惑に逆らえず、真也は身を滑り込ませる。こう呟きながら。 「――そうだな。おれは、悪い大人だ」
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