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『それで、どうかしたのか。用があってかけてきたんだろ』
「用というほどじゃ……。ただ、一緒に飲めないかなと思っただけなんですけど、秦さん自ら店に出ているようじゃ、無理みたいですね」
そう言いながら圭輔は、秦から欲しい返事を引き出そうとしている自分のズルさ――というより、甘えを自覚していた。もちろん秦は、そんなことは見抜いている。
『本店のほうに来い。店を閉めるまで、オフィスにいればいい。そのあと、二人で飲もう』
「いいんですか?」
『山のようにチョコレートをもらったから、お前にもお裾分けしてやる』
圭輔は小さく笑い声を洩らして応じた。
「すぐに行きます」
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