番外編 拍手お礼32

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 二神は、ここで自分の格好を見下ろす。喪服かと揶揄される、漆黒のスーツに身を包んだ自分は、彼の目にはひどく不気味で、不吉なものに映るのではないかと考え、観葉植物の陰へと身を潜める。そのうえで、じっくりと彼を観察する。  佐伯和彦の非常に整った顔には今日も、困惑と諦観の色が浮かんでいた。ただ、育ちのせいなのか、もともとそういう性質なのか、感情を露骨に顔に出すことはしていない。立場上、自分の言動のせいで、余計な誤解を生むことを避けているとも考えられる。  いろんなことを慎重に考えられる人間でなければ、彼のような状況に置かれると、身動きが取れなくなるどころか、呼吸すらままならなくなってしまうかもしれない。何よりまず、精神がもたない。  そっと目を細めた二神は、軽く唇を舐める。品がよく、優しげな雰囲気を持つ彼は、外見とは裏腹に、実はヤクザすら太刀打ちではないほど、タフな内面を持っているのではないかと、ふと考えていた。     
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