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和彦の眼差しに吸い寄せられるように、真也は顔を近づける。尊いものに触れるような気持ちで、和彦の唇にそっと自分の唇を重ねた。二度、三度と繰り返しているうちに、互いに唇を啄み合うようになり、和彦がそっと吐息を洩らしたのを待って、唇を吸ってやる。
口づけの仕方も、真也が最初から教えた。和彦が高校に入学するのを待ってから、まずは子供同士の戯れのように唇を触れ合わせ、それから時間をかけて、快感を得られるような濃密な口づけが交わせるようになったのだ。
和彦の甘い口腔に舌を侵入させ、感じやすい粘膜を舌先でまさぐる。上あごの裏を舐めてやると、微かに呻き声を洩らした和彦が、真也を求めてくる。舌先を触れ合わせ、緩やかに絡めていく。唾液を交わして喉を鳴らした和彦が、囁くような声で言った。
「オレンジジュースとコーヒーの組み合わせって、最悪だったかも……」
真也は声を洩らして笑ってしまう。
「口、すすいでこようか?」
「いいよ。すぐに気にならなくなる」
和彦がしなだれかかってきて、濡れたような目で真也を見上げてきた。そんな和彦を抱き締めながら羽織を脱がせ、もう一度唇を塞ぐ。浴衣の帯を解いてから、一緒にベッドに倒れ込んだ。
和彦の上に覆い被さり、体重をかけないよう気をつけながら、髪や頬を撫でてやると、心地よさそうに目を細める仕種が愛しい。真也は、和彦が着ている浴衣の前を開く。途端に石けんの香りに鼻腔をくすぐられた。
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