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番外編 -欲-
詰め所に立ち寄った加藤は、第二遊撃隊隊長である南郷が来ていると教えられ、黙って帰るわけにはいかなくなった。
一週間ほど前、南郷から電話があり、そろそろ身の振り方を考えろと言われた。希望があるなら力になってやるとまず言われたが、結局のところ、第二遊撃隊への誘いだった。
南郷を信奉しているチームの人間の何人かが聞いたら、あからさまに羨望の眼差しを向けてくるだろう。南郷から直接誘われるということは、隊の中での居場所が確保できたようなものだからだ。あくまで半端者の集まりでしかないチームの人間にとっては、それは重要なことだ。隊の中で、一人前として扱ってもらえるということは。
実際、二か月ほど前に、同じく南郷に声をかけられた小野寺は、自分が受け持っていたチームの半数の人間たちを、あっさりと加藤に押し付けて、喜んで第二遊撃隊に入った。街中で女を騙して弄んでいたようなチンピラですらなかったクズが、あっという間に総和会の正式な一員になったのだ。
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