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番外編 拍手お礼16
佐伯の姿がエントランスに入って見えなくなるのを確認してから、鷹津は素早く周囲へと視線を向ける。こちらに対する合図のつもりか、マンションからやや離れた場所に停まっている車が、ライトを二回点滅させた。
マンション前に車を停めたときから、こちらを見張っている存在には気づいていた。もちろんそれが、長嶺組が佐伯につけている護衛だということも。蛇のような男は、自分の〈オンナ〉を見守ると同時に、鷹津を威嚇しているつもりなのだ。
胸糞の悪さを覚えた鷹津は、すぐに自分の車に戻ってその場を去る。
だが、マンションから数分ほど車を走らせたところで、二十四時間営業のファミリーレストランの駐車場に入った。
携帯電話を取り出すと、ある人物にかける。堅気の人間なら、とっくに寝入っていても不思議ではない時間だが、そんな心配をするまでもなく、三回目のコール音が鳴る前に相手は出た。
「――俺だ。ちょっと頼みたい仕事がある」
挨拶も前置きもなく切り出すと、相手は気を悪くした様子もなく応じた。
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