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ウェスイフール王国のこともあり、そちらへ自警団を送る手続きや元奴隷の受け入れ手続きをしなくてはいけないのだ。アレースがやらなくてもいいことではあったが、1人1人のことをしっかりと知り受け入れたほうがいいと思い、アレースがやっているのだ。
「……エリスさん達に行かせてもいいのでは?」
「そうすれば自然と、龍と白龍も行くことになるからの」
「……話したい事ってのも気になるしな。それに名前を貸してくれたことの礼も言わないといけないし、仕方ないか」
そう言ってアレースはエードに、今日いつでも構わないからエリス達を呼んでほしいと告げた。その言葉を聞いてエードは頷くと、2人に頭を下げてベッドから離れて、扉を開いて部屋から出て行った。
アレースは左に置いた手紙を手に取り、ベッドの横に置いてある机と向かった。引き出しから便箋と封筒を取り出すと、手に持っていた手紙を机の左側に置いてイスに座った。
アイルへと返事を書くためにペンを手に取った。そんなアレースを、悠鳥は黙って見つめていた。今の悠鳥にはアレースが何を思っているのかわかっていた。
エリスを自分が行ったことのない、知らない国へ行かせたくはないと思っているのだろうと、アレースの表情を見ればわかるのだ。そんなアレースに悠鳥は微笑んで口を開いた。
「大丈夫じゃ。エリス1人で行くわけではない。黒麒達もおるんじゃ。それに、龍だって力の制御もできるようになっておる。今では、エリスを守ってくれる者も多い。心配はいらぬ」
「……そう、だよな。エリスも弱くはない。何かあれば、助け合える。だから、大丈夫だよな」
そう言うと、アレースは安堵の息を吐いた。龍が来た頃であれば、魔物と一緒に他国へは行かせようともしなかっただろうと思いながら、アレースは手紙を書きはじめた。
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