第一章 気づく

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第一章 気づく

夢を見ていた。 少女が泣いていた。声をかけることができなかった。なぜか、怖かったんだ。 ふと目覚めると「あぁ、夢か。」と安心する一日の始まり。                 ******** 晴れていて欲しいはずの空が今日は落ち込んだように暗かった。つられて思わず俺も落ち込んでしまう。デリケートな心だなと思いながら本日初めての起立を行う。部屋でいつも通りの身支度をし、眠たい目をこすりながらリビングへと向かいましたとさ。テーブルの上に真っ白な肌をしたパンがレタスやらハムとやらを挟み込んでぽつんと居座っていましたと。もちろん家族は当たり前のように僕をほったらかしにして、重たい外へとつながるドアを開けて行ってしまっていた。 「あー、なんて平和な一日の始まり。」 嫌味ではあるが、もちろん誰も聞いていないわけでございまして。 自転車を無で漕ぐこと約30分。えらそうにそびえ立っている美浪高校。 一日の楽しみは、隣の席の、恐ろしいほど顔が整い、何回洗ってんだろってぐらい綺麗な長い髪をもつ女子。いや、女性といった方が正しいのではないかと。     
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