1.夢の話

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「ううん…。」 寝返りを打つと、窓から射す月明かりを感じる。 眠れないな…。 もう一度寝返りを打とうとすると、急に月明かりが陰る。 思わず目を開けると、窓の傍に光が二つ、私を見下ろしていた。 何だろ…あれ…。 起き上がろうとして…異変に気付く。 腕に力を入れても、固まったかのように動かない。 それどころか、声も出せなくなっていた。 唯一動く目を駆使し、せわしなく視界を彷徨わせる。 え、なんで…!? 混乱で頭がいっぱいになったとき――声が聞こえた。 「怖がらないで。…大丈夫。」 !?…今の声、どこから…? ハッと我に返り辺りを見回すと、こちらを見つめる光と視線がかち合う。 「…少し、落ち着いたかな。」 っ…!また…声が…?もしかして…そこに誰かがいる? 身構えたそのとき、光が瞳を閉じるように消え、陰った月明かりが束の間の静寂を運んでくる。 だが、光の存在はまだそこにあった。 また同じ声がどこからか響く。 「君は何も知らないだろうね。そのままでいい。 まあどっちにしろ、今夜のことは忘れてしまうだろうけど。」 …!?
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