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「ううん…。」
寝返りを打つと、窓から射す月明かりを感じる。
眠れないな…。
もう一度寝返りを打とうとすると、急に月明かりが陰る。
思わず目を開けると、窓の傍に光が二つ、私を見下ろしていた。
何だろ…あれ…。
起き上がろうとして…異変に気付く。
腕に力を入れても、固まったかのように動かない。
それどころか、声も出せなくなっていた。
唯一動く目を駆使し、せわしなく視界を彷徨わせる。
え、なんで…!?
混乱で頭がいっぱいになったとき――声が聞こえた。
「怖がらないで。…大丈夫。」
!?…今の声、どこから…?
ハッと我に返り辺りを見回すと、こちらを見つめる光と視線がかち合う。
「…少し、落ち着いたかな。」
っ…!また…声が…?もしかして…そこに誰かがいる?
身構えたそのとき、光が瞳を閉じるように消え、陰った月明かりが束の間の静寂を運んでくる。
だが、光の存在はまだそこにあった。
また同じ声がどこからか響く。
「君は何も知らないだろうね。そのままでいい。
まあどっちにしろ、今夜のことは忘れてしまうだろうけど。」
…!?
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