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料理人はまずアイスクリームを作って、さらにそれを氷のドームで囲んでみた。
透明の氷の下から、乳白色のアイスクリームが透けて見える。
見た目にも涼やかで美しかった。すぐに主にお出しした。
喜んだ太陽神が微笑んだ瞬間、氷のドームが一瞬で溶けてしまった。
ただの水となってしまった氷の水は、アイスを水浸しにしてしまった。
びしゃびしゃのアイスクリーム。失敗である。
氷がダメなら、保冷箱はどうか。
尊い主にお出ししても良さそうな品の良い保冷箱を見つけてきた料理人は、
その中に美しくデコレーションしたアイスクリームをおいた。
太陽神にお出ししても溶けなかった。嬉しそうにスプーンでアイスクリームを
すくいとり、口元へと運んだ。しかし口を開けた途端、アイスクリームは溶けて
しまった。残ったのは液体と化してしまったアイスクリーム。また失敗だ。
では部屋全体を冷やしてはどうか。
料理人は背丈ほどの大きな氷を何個も用意し、太陽神が料理を召し上がる部屋を
きんきんに冷やした。料理人は寒くてがちがちと震えたが、衣服を何重にも着込んで
必死に耐えた。アイスクリームは溶けなかった。今度こそ。
震える手でお出ししたアイスクリームを、太陽神は眩しそうに受け取った。
「さすがはわたしの料理人だ。嬉しいぞ!」
喜んだ太陽神は自らの膝を軽く叩いた。その瞬間、何個も用意した大きな氷は
みるみる溶けだし、部屋は水で満たされてしまった。料理人は溺れそうになったが、
アイスクリームを放り投げた主によって間一髪助け出された。
またまた失敗であった。
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