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「ばぁば 抱っこ」
もみじの手のひらを広げて 幼子が近づいて来る。
今の私の生きがいは 孫という宝物との
ふれあいしかない。
「ずいぶんお若いおばあちゃまですね。」
おもちゃ売り場の店員が 驚いている。
「ほら~ママが若作りだからだよ。」
娘が 笑った。
「いやあね。若いんだもん。
でも年齢の事は 内緒だよ。」
私は 奥津 和香 もうすぐ四十路・・・・・。
「おいで 頼。」
孫の頼は ママの次に ばぁばを覚えた。
娘の夫が悲しんでいたな。
「ママね もう少しおばさんっぽくしてよね。」
「やだ。若いって言われて気分いいのに。」
「私が老けるスピードが速くて
ママに追いついちゃいそうで怖いんだけど。」
「ママもダメだよ。
もうずいぶん年をとっちゃったもん。」
「そうだよね。ママと会ってから15年たった。」
「早いね。叶絵は小学生で こんな小さくて・・・。」
「パパが綺麗なおねえちゃんを連れてきて
ママになってくれるって言った日の事
私は忘れないよ。」
「そうだったね。パパは強引だったから。」
「ねぇ ママ・・・・・
今こうやってあの頃のママの年齢に近づいて
ママは幸せだったのかなって思う時あるよ。」
うん 幸せだったと思うよ。
人並み以上に・・・・・・・。
私は あの頃 ボロボロだったから・・・・・
夫と 夫の連れ子の 叶絵の素直さに
本当に支えられて生きてきたから。
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