1人が本棚に入れています
本棚に追加
例えば好きな歌が。
君と同じならいいな。
違ってもいい。
君が好きな歌を、僕が好きになれたらいいな。
そんなことを考えながら、ぼうっと君を眺める。
長い髪を後ろで束ねた、うなじが美しかった。
君はイヤホンをして読書。
僕はライブ映像を眺めるふりで、そっと君を伺う。
こんな箱庭みたいな部屋に君を閉じ込めて、一緒に過ごす時間は宝物だった。
話をするのが苦手な君が、一緒にライブ映像を観てくれない、とか、談笑したい、とか、そんな不満がないわけじゃない。
だけどどんな不満も、君が好きすぎる故なんだよ?
君といたい。もっと君を知りたい。共有したい。
好きになればなるほど、その想いは強くなるんだ。
これを恋の病というのか。
甘い夏の日差しのように、ふたりを包む空気が輝いている。
そんな恋の詩を、君に送りたくて。
でもうまく伝えられなくて。
こうやって一緒に過ごして、テレパシーで伝わらないかな、なんて馬鹿なこと考えてる。
宝物。君との全てが宝物。
そんな風に思う僕を、君は笑うかい?
END
最初のコメントを投稿しよう!