case1.燃える

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先生がコーヒーをテーブルに置くと、燃える男もおとなしくソファに座った。 「有栖さんは僕の隣にどうぞ。……ああ、何だか暑いですねえ。」 暑さの原因は明白だ。 先生は患者の正面に座ると、クーラーの電源を入れた。 設定温度を限界まで下げている。 患者は恨めしげにこちらを見ている。 「有栖さんはいつも通り、記録を取っておいて下さい。」 小型のノートパソコンを渡された。すぐに議事録を作る準備をする。 「それでは始めましょう。お名前を伺ってもよろしいですか。 ああ、偽名でも構いませんよ。」 「……キセルです。」 「では、便宜上そう呼ばせてもらいます。」
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