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「どうかな。姉弟の仲良し子良しも、程度問題だとは思わないかい?結局、丈は、口ではなんと言っても、姉離れが出来ず、家族を持たず、三千子も弟離れをしなかった。それは、少なくとも生物としては、正しくないだろう?」
「ええ、まあ、そりゃあ、そうですけど・・僕の出る幕はどこにもなく」
「そこに切り込むのが、肉親というものじゃないのかね」
「それは、家庭の事情というものが・・」
「そこを乗り越えないと」
「それができれば・・・」
「だから、そこなんだ」
「どこなんです?」
「だから、自分が変わるということが、どれだけ難しいことかという例さ。口で言うほど簡単じゃないとは思うが、出来ない相談じゃないはずなのに、世界と戦争する以上の労力が必要かと思えてしまう。確かに、あれは君の姉さんと兄さんの個人的問題かもしれないが、だからこそ、君が関わらないでどうするんだって事実。最初から君はそこから逃げているではないか、違うか?」
「ええ、逃げてます。逃げてますよ、それが、何か・・」
「うむ、そこで居直るのが、君の戦法なんだ」
「なんか、妙な納得の仕方をしますね、八郎さん」
「いや、ただ、君がそれを自覚しているのかどうかが気になってね」
「それは・・」
「別に事の正邪を問題にしているんじゃない。ただ、君がそれを自覚して使っているかどうかという問題でね」
「それは・・どうだったかな。あまり意識したことないですけど」
「まったく、自動機械になってやっている戦法なんだろうね」
「うむ・・考えたこともなかったけど」
「だろうね、ことほど左様に、人は自分を、自分の行動パターンや発想パターンを客観視することは困難に出来ているんだな。まあ、この私が偉そうに言うのも、おかしな話だけどね。わたしがモデルになった、あの漫画のエイトマンのように、人格プログラムを電子頭脳に転写した存在だったら、実際は、それほど難しい話ではないのだろう。その部分のプログラムを修正、書き換えてしまえば、いいだけの話だからね。その意味では、人間よりもロボットの方が、よほどか素直に出来ているわけで」
「うむ・・」
「そして、発想が変わり、行動が変われば、周囲が、つまり僕たちにとっての手の届く部分の”世界”が変わると思わないか」
「まあ、理論的には、そうですね」
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