ボンボンのお仕事

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「しかし、そのからくりを知らないでいたから、私はエドメガロポリスの腐敗をとどめることが出来ず、幻魔の侵攻を招いてしまった。それさえわかっていれば、侵攻を防ぐ算段を、何か出来たかもしれない」「侵攻を防ぐ・・ですか?」 「ああ、人類の魂の腐敗を押しとどめることが出来れば、幻魔の侵攻を防ぐことができる・・道理だとは思わないか」 「まあ、そうですが」 「君の言いたいことはわかるつもりだ、いったん、幻魔が侵攻すれば、病魔に襲われたもので、魂の腐敗をとどめても、無意味ではないかと?」 「ええ。しかし、それでも、被害を小さくとどめられる可能性はあるのでしょう」 「ああ、そうだ」 「そのために、別の世界で、俺の兄貴は、”救世主”として、新興宗教をおったてるような真似をしたと聴いています。まだ、この目でそれを見たことはないですけどね」 「それしか方法がない、とは思わないが、心の、魂の腐敗をとどめる手段としては、それに似たことをするしかないのだろうなあ、正直、わたしにも、その東丈君の戦法くらいしか思いつけない」 「エクソシスト、悪魔祓いなんて、ゲロゲロ、いつの時代の話だ、ですけどね。正直なところ。で、どうしますか、八郎さん、僕たちも何か、新興宗教を始めますか?僕たちの超能力を使えば、それも夢ではないでしょうけど」 「わたしたちは、ただの探偵さんだからね。探偵さんは探偵さんらしくするのが、まっとうな道というものだろう。レベルは別でも、幻魔が動いていれば、望むと望まざるとに関わりなく、この町で物騒な騒動を起こしているはずだから」 「その犯人を捜せば、おのずと、幻魔に行き当たるはず」 「そういうこと。私たちに出来るのは、結局、幻魔を退治することだけなんだから」 「そうですね。そのほうが、よほど、まっとうなお仕事だと思うわけで」 「わたしも、同意見だよ、ボンボン。それが身の丈というものだ。そういう仕事は、そういう方面の”太陽の戦士”にまかせればいいだろう」 「そういう、”戦士”っているんでしょうか」 「いなければ、これから黒野さんに提案することとしよう。あの人のことだ、というか、そもそもそういう連中もいないと、片手落ちというものではないか。なにしろ、わたしたちでも思いつくような話なのだからな」 「そうですね、まさに」
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