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 彼女に初めて出会ったのは、高校の入試会場だった。失敗したらどうしようとガチガチに固まっている僕の横で、彼女は余裕の表情を浮かべて、時々長い艷やかな黒髪を掻き上げる。その度にシトラスのような爽やかな香りが漂ってきて、優しく僕の鼻腔を擽る。そのおかげで、少しずつではあるが、僕の緊張は解きほぐされていった。  彼女の容姿は、一言で言えば、“めちゃくちゃ可愛い”というところだろうか。単に可愛いという言葉だけでは、彼女を形容しきることはできそうもない。宝石の様に輝く大きな瞳、スラリと筋の通った形の良い鼻、潤いのある赤い唇が、小さな顔の中にバランス良く並んでいる  試験直前という状況でなければ、僕は彼女に一目惚れしていたかもしれない。いや、間違いなく一目惚れしていただろう。何故なら、僕は次に彼女を目にしたとき、一瞬で恋に落ちてしまったからだ。     
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