Quiz

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 幸いにも、顧問の先生はすぐに見つかり、クイズ研究会の設立も無事に承認された。狭いけれど、部室も割り当ててもらえた。僕たちは会員の勧誘に精を出したが、その努力も空しく、入会希望者は一人もいない。そういうわけで、当分の間、クイズ研究会は僕と彼女の二人だけで細々と活動することになった。会長は彼女。副会長は僕。名ばかりの会長と副会長だ。  夏休み、合宿という名目で、僕は毎日のように彼女の自宅に通った。とはいえ、僕の恋に何らかの進展があるわけではなく、ただ彼女の部屋で何問ものクイズを解いてゆくだけだ。間違えた問題は何度も繰り返して解き、知識をしっかりと定着させてゆく。まるで試験勉強のような日々だ。とはいえ、元々それほど勉強が苦手ではない僕にとっては、それほど苦にはならない。  そんな日々が続き、夏休みも半分くらいが終わったある日、いつものように僕がクイズを解いていると、突然彼女が、 「これから海に行かない?」  と言った。 「これから?」 「うん、これから」  僕は驚いて時計を見る。時刻は午後七時。僕ももうそろそろ帰ろうかと思っていたところだ。海までは最低でも一時間はかかるから、着いた頃には完全に夜になってしまう。どうして彼女が突然こんな時間に海に行こうなどと言い出したのかはわからない。おそらくは単なる気まぐれなのだろう。それでも、彼女と二人で夜の海というのも悪くないと思った。     
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