戦いと友と

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ここで、顕著になったのは、今は国の中で金を出せば何でも手に入るわけじゃないという現実だった。 バニラは旅をしたことがない。だから仕方ないとは云え、カラスとメアリーの負担は大きく、バニラもそれを悪いと思っているのかいないのか。相変わらず、そんなバニラを見て空気が和んでいるのも確かではあった。 カラスは早く幻の村、ジェコバに辿り着きたい。何かが自分の中でも、世界にも変えられることが起こせるかもしれない。そんな期待だけに背中を押されていた。  コラトゥーラを出てから、モンスターとは遭遇していなかった。恐らくこの辺りは、まだコラトゥーラの治める範囲の大陸で、モンスター狩りが進行していたからモンスターたちも塒を変えているのかもしれない。それほど派手にモンスター討伐が行われているという証拠である。  カラスも実際のところ、この辺りは何度か訪れたことがあった。そのおかげもあって、休む場所の確保も出来ていた。ただ、魚人の住む湖には別の班が先行していたので、報告しかしらない。それも二年前のことである。カラスはコラトゥーラの治める大陸の別の地域に派遣されることが多かったため、ここ数年でどう変わっているかは知らなかった。しかし、この地域にも別の班が定期的に調査に来ていたのは確かで、そのせいでこんなにも人が旅をしていて平和に過ごせるのかと、それにも嫌悪感を抱いてしまうほどであった。  
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