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「だって、あなたそこまで聞かなかったじゃない」
「お前の話は聞き辛くてたまらなかったんだよ! 意味不明な事ばかり言って話の腰を折るし。もう少し人族の標準語に倣ってくれないかな!」
「ホホホ、人の国の言葉に口を出すのはナンセンスよ。理解出来ない自分の罪を人のせいにしないで頂戴」
「ああまたそうやって!」
おお、ブラックが押されてるの初めて見た。
でもこういうの見るとなんか和むなあ。
ブラックにも敵わない相手っているんだ。ニヤニヤしちゃうぞ。
「こんなおじちゃんは放っておきましょうね、ツカサ君。……話が少し戻るけど……何故私が異界のエルフの事を知っていたかと言うと、それは神に教えられたからなの。神も同じく【異界より来たる者】……全知全能である神から生まれた私達は、来たるべき時の為に異界の事を教えて頂いていた。この言語を習得しておけば、黒曜の使者を見分けられると言う事でね」
うええ、神ってますます何者なのか解らなくなってきた。
神族の言う神って、ネット小説に良く居るフレンドリーな奴……なのかな。
俺の世界の言葉を伝えるって、そいつ自身が両方の世界どっちもを知ってなきゃ出来ないよな? ってことは、神様も俺と同じ転移者……なわけないか。
種族を生み出すなんて、神様じゃないと出来っこないしね。
やっぱネット小説でありがちなへっぽこ神様なのかな。エルフ好きみたいだし。
しっかし、言葉遣いで人を見分けるって、結構怖い神様だよな。
方言もそうだけど、どうしたって自分が生まれ育った場所の言葉は記憶から消せないし、ふとした瞬間に口にしてしまう。
異世界だったら尚更だ。俺だってデートだとかサンキューだとか、普段使ってたカタカナがつい出ちゃうし……こんな風にシアンさんに喋られたら、絶対に緊張を解いてべらべら喋っちゃうだろう。
それを見越しての神族への教育って……エルフの生みの親は絶対に策士だ。
じゃなけりゃ、黒曜の使者を徹底的に叩き潰す気だったりして……?
へっぽこ神様なのに、自分の世界を壊す物には容赦しないのか。
うわ怖い。これは一番ダメなやつだ。
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