3.説明回って眠くなるよね

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  「じゃ、じゃあ、神様にとって黒曜の使者はマジの悪者(わるもの)って事なんですか? そんだけ用意周到に、俺の世界の言葉を教えるってのは……逃したくないって事の現れですよね?」 「さあ……それはさすがに解らないわ。私達神族は、神に従って世界の【監視】を続けてきたけれど……神の真意や全てを知っている訳ではないから。それに【六つの神の書】は、あくまでも神族の歴史書であり人間の歴史書ではない。世界(・・)の歴史としては抜けている項目が沢山あるの。だから……黒曜の使者の事は、私には何とも言えない。脅威には違いないけど、それ以上の事は記されていないから」  うーん……結局俺達が知っている事以外の情報はないのか。  俺の能力や素性をバラしたうえで【創造】の力の事を聞いては見たけど、シアンさんは善悪の判断はつかないと言っていた。  てか、神族でも俺の能力は知らなかったのなら、答えようがないよな。  重苦しい空気に包まれた中で、シアンさんがふうと溜息を吐く。 「しかし……【黒曜の使者】の正体が……曜気を生み出し、無尽蔵の力で術を発動できる異界人だったとはね……。そんな異常な能力があるのなら、災厄と記されても不思議はないわ。だけど……誰が貴方を殺せと言ったかしら。私は然るべき話し合いをして、協力が可能であればここまで連れてきてと命じたはずなのだけど」 「……え?」  これ、あれだよな。  俺がどうして始末されかけたのかって質問への答えだよな。  シアンさんは俺を始末する気は無かったのか? え、マジ? 「俺を殺すつもりでブラックを送ったんじゃ!?」  思わず立ち上がると、シアンさんは少し目を丸くして俺を見上げた。 「それはまあ、交渉が決裂した場合はと思っていたから……。でもおかしいわね、どこで間違ったのかしら……ちょっと待ってね」  パン、とシアンさんが手を叩くと、ローブの人間達が次々部屋に入ってくる。  ひぃいいなにこれ、刺客!? 刺客なの!?  思わずビビる俺に構わず、彼らは目の前で整列し、一斉にローブを取った。 「あっ!?」  ローブの下から現れたのは、色の度合いは違えど、皆金か銀の綺麗な髪色をしたエルフ達だった。当然如くみんな美男美女で、見てるだけで視神経がショートしそうだ。やだ、こんなに沢山のエルフ見た事ない。  エルフ好きだった悪友に自慢したい。  
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