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「……一つ思い当たる事が有るわ。と言っても、徒労に終わる可能性があるけど」
「何でもいいです、教えてください!」
腰を浮かす俺に、シアンさんが座りなさいと促す。
慌てて姿勢を治すと、シアンさんは俺達に見せるようにすっと両手を広げた。
その掌の前に、なにやら光が集まり始める。
この感覚知ってるぞ。携帯百科事典を見た時の感覚と一緒だ。
ってことは……気の付加術の一つ、【幻惑術】による視覚への干渉?
要するに、俺達に立体映像を見せようとしてるって事だけど……なんだろ、何を見せてくれるのかな。
「この世界には、幾つかの空白の地域や魔族の領域……そして、古代の遺跡が存在します。その中にはまだ踏破されていない場所が沢山あるの」
ぼんやりと掌の光に色が付いて行き、この世界の地図が現れる。
簡易地図で見たのと一緒の地形には、いくつか黒い部分があった。
それがいわゆる空白の地域って奴なんだろうか。かなりあるな。
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