4.調査?そのまえに獣人娘だろうがァ!!

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   そうに違いないって……こんなにプンスカしてるブラックは初めて見たな。  俺が見た限りでは、シアンさんと仲が悪いようには見えなかったけどなあ。殺すなんて物騒な事言わない分、どこかで信頼はしてるんだろうし。  このオッサン、気に入らない相手だとすぐ「殺して良い?」とか言うけど、シアンさんには言わないもんな。クロッコってエルフ美青年には殺意を向けてたけど。  だから俺としてはブラックのシアンさん嫌いも微笑ましいんだけど……。  うーん、しかし、こうもじたじたしてるブラックを見ると、何だかカーチャンの言う事にダダこねてる息子に思えてきた。 「中年なのにママにダダかあ」 「何か言ったかな」 「ん? い、いや? てか、行くなら一人で行けよ」 「ええっ、付いて来てくれないの!?」  何を驚いてるんだろうかこのオッサンは。   「だって俺達もうシアンさんが全額負担してくれた宿屋に泊ってるし、 地下水道なんて腐食の森に比べりゃマシに違いないだろうし……。これで文句言いに行ったらすげー恩知らずじゃね?」 「宿は変えればいいじゃないか」 「俺が今更この快適空間を手放すとお思いか」 「ううっ、裏切りものー」 「泣いたってダメ。一度決めたんだから男に二言は無い!」  びしっと言ってやると、ブラックは目尻に涙をためながら後退った。  そして、そのままじりじりとドアの方へ向かって、走り出す。 「ツカサ君のばか! でも大好き! 明日の朝帰ってくるから大人しくしてるんだよ、出歩いて知らない人に犯されたらお仕置だからね!!」 「なにその捨て台詞!?」  いやに具体的な台詞言うのやめてくんない!?  思わずツッコミを入れたが、ブラックは泣きながら出て行ってしまった。  物凄く消化不良だけど……まあ、出て行ったならよしとしよう。 「……しかし明日の朝か……。となると……」  半日分、俺には余裕が出来たって訳だな。  ニヤリと笑うと、俺は早速外出の準備を始めた。  
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