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何だか妙な気持ちになったが、それを振り払って俺は道具をリュックに収める。さて、これで仕分けは終わりだ。街に着く前にこうして整理しておけば、後で慌てて出し入れしたりしなくて済む。
「クグルギさんがた、ほれ、ラッタディアが見えてきましたぞい」
「えっ、ホント!?」
お爺さんの声に、俺達は思わず御者台に駆け寄る。
「うわっ……海だ……!」
疎らに草の生える丘の向こう、木々を豊かに生やしたオアシスのような街の背後に、キラキラと光る水平線がはっきりと見えた。
あれは……この世界で初めて見る海だ。
俺の世界と同じように蒼くて、広くて、凄く輝いている。
「はは、海か……久しぶりに見たな」
ブラックの言葉に、軽く頷く。
頬を撫でる風は暖かくて、微かに潮の匂いがした。
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