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「にしても、本当綺麗な街だよな。中心部は石畳敷いてあるし、色んな所に水路が有ってまさにオアシスって感じだし」
「当然さ、ラッタディアは世界一美しい都って言われてるからね。……この街は、太古の昔に存在したという巨大な国の王都で、その頃の栄華がそのまま残されてるんだよ。だから中心部はこんなに美しくて綺麗なんだ」
「へ~……この世界にも滅んだ文明ってあるんだな」
「そりゃ有るでしょ、歴史が有るからこその国なんだし」
まあその通りなんだけど、ファンタジーの世界の国って「数千年続いてる」って場所ばっかり思い浮かんじゃうからなあ。
このラッタディアの町並みだって、まさに古代からの都ってレベルだし。
しかし、本当外国だとかファンタジーの世界の街とかってすげーよなあ。
ラッタディアは都市機能や人が集中する場所だからか、どこもかしこも煌びやかで綺麗な水を流す水路が至る所に通っている。少し歩いただけでも絵になりそうな場所が幾つも有って、思わず感嘆の溜息が出るほどの美しさだ。
俺には一生縁が無さそうな場所だけに、本当もう感動しっぱなし。
この街はまるで水の都ヴェニスだね。俺テレビでしか見た事ないけど。
しかしいつまでも驚いてはいられない。
観光気分もそこそこにして、俺達は中枢の宮殿へと向かった。
中枢の宮殿は、やはり各組織の重要施設があるとあって、流石にフリーパスでは入れない。門番の人に身分を提示しても、前庭を抜けて宮殿のドアの前まで来るとまた身分証明を求められる。
ウンザリするが、セキュリティのためだから仕方ない。
警備の人にやっとオッケーを貰えて、俺達は中へと通された。
やっと辿り着いたぞ、と解放された気分で宮殿のエントランスに入る。
すると……――受付の前に、なにやら人影がぽつんと立っていた。
「あれ、って……」
見覚えがある、黒いローブ姿。
思わず身構えた俺達に対し、相手はカツカツと靴音を立てて近付いてきた。
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