山ガール

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 するとそこには一人の女性が立っていまして、私は彼女が小屋に入ると直ぐにドアに閂をしました。彼女はストーブの横に行くと帽子を脱いで全身の雪を払いました。彼女は肩程までの薄い茶髪に垢抜けた顔付きの如何にも今風の女の子といった身形で、こんな雪山には似つかわしくないなぁと思いましたよ。私が『大丈夫ですか?』と尋ねると、彼女は『はい、ありがとうございます』と言ってビショビショに濡れた上着を脱ぐとそれをストーブの横に干し、カバンから別の上着を取り出してそれを着こむと、私の横でストーブにあたり出しました。不思議に思ったので『お一人ですか?』と尋ねると、『はい、一人なんです』と言いました。  私は突然の思わぬ来客に一瞬だけですが寒さを忘れていましたよ。まぁ直ぐに、ドアや窓が立てるガタガタという音と共に恐ろしい寒さが戻って来ましたけどね。しばらくして私が薪を足していると彼女はストーブの横に寝袋を広げその中に入ったんです。私はこの様な状況でなければ色々と楽しくお話でもしたいのにと頭の中では思いましたが、歯はガチガチと音を立てて震えて、喋ることもままならないし、喋る内容を考える余裕もありませんでした。  すると突然彼女が寝袋を開けて『一緒に入りませんか?』と言ったんです。私が答えに困っていると、また『寒いので二人一緒の方が暖かいじゃないですか』と尤もなことを言うんです。私は夢か、はたまたあの世へのお誘いかとも思いましたが、どうせ誰も居ないのだからと彼女の寝袋に一緒に入ったんです。するとさっきまでの寒さが嘘のように暖かく感じられまして、『とっても暖かい』と耳元で囁く彼女の声と、彼女の良い匂いに誘われ、疲れていた私はぐっすりと眠りについてしまったんです。     
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