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ところで君ね、山ガールって言葉を聞いたことがあるかね。変な事を言うと思うかもしれないが、あれも妖怪だよ。雪女の現代版と言ったところかな。登山に興味を持つ若い女性が増えてるなんて言うけど、私が調べた結果、そんなのは少しも増えてないんだよ。じゃあ何が増えたかと言えば、若くてかわいい女の登山者と出会いたいと思う登山者が増えたんだよ。どっかのアウトドア雑誌か何かが、少しでも女性客を取り込もうとして山ガールなんて言葉を作ったんだろうけど、それが読者の願望を餌に独り歩きを始めたんだよ。
まぁ今回のI氏の話でも、たとえば友人に薬や水を飲ませるのを忘れたとか、それこそ火を絶やしてしまったとか、そういう理由で友人が死んでしまった。そこで自分が殺したんじゃないと自分を納得させたかった。ここに山ガールがつけ込んで来たんだよ。
あ、そうそう、これは蛇足だけどね。山ガールは雪女やつらら女ではなくて、むしろヒダル神と同一だとする向きもあるんだよ。しかし私はこれは間違いだと思うね。同じ山道に出る妖怪ではあるけど、ヒダル神は多くの場合餓鬼の様な姿で伝わっていて、若くてかわいい女性の姿とは似ても似つかない。恐らくヒダルに取り付かれると、急に腹が減って行き倒れになってしまうというところから、若い男性が山道で若い女性と出会えば、転ぶのも当然で、そうなれば腹も減るであろうという安易な結び付けだと思うんだ。私は全然こんな意見は間違ってると思うね。」
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