274人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
「じゃあなんでαの子供がΩなんだよ!」
俺は感情的になってしまい、その場にしゃがみ込んだ。
昼の時間だが皆室内で食べているのか外には誰もいなくてよかった。
俺のこのもやもやした気持ち、抑えられそうにない。
生まれる筈のないΩの子供、俺はいったいなんだ?何者なんだ?
確かに顔も成績も運動神経も何一つαらしくはなかったけど、まさかそれがΩだからだなんて…
俺の今までの人生、いったいなんだったんだ?なんで俺がαだと嘘を付いたんだ?
『ごめんなさい、母さん…実はΩなの』
「……え?」
『母さんがαだと分かればなにがあっても自分がαだと思い込むでしょ?』
「……なんで、そこまで」
『貴方は10万人以上のΩから選ばれたΩなの』
電話の向こうで母の泣く声が聞こえて胸が締め付けられた。
え……なにそれ、何の話?意味が分からない、俺にもわかるように説明してよ。
10万人以上って、俺の秘密ってそんな大きな話なの?
俺がΩなのがそんなに大事になっているなんて思わず、自然と頬に汗が伝う。
そして母は重たい口を開き静かに話してくれた。
俺が何故αだと母が俺に言ったのか、10万人とはなんなのか。
『Ωが差別されている社会だって事は知っているわよね』
「…うん、まぁ…毎日テレビでやってるし」
『そしてΩは希少の存在とされている、αは社会的地位が高い存在だけどΩがαを求めてヒートするようにαもまたΩを求めているの』
「え…でもαはヒートしないよな?」
『そうじゃないのよ、まだ蒼には分からないと思うけど運命の番ってそういうものなのよ』
どういうものなのか運命の番に会っていない俺にはまだ難しい。
最初のコメントを投稿しよう!