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αはずっとΩを差別しているものだと思っていたが心ではΩを求めていたのか。
でも、自分のΩが良ければそれでいいって本当にそんな自分勝手でいいのか?
綺麗事を言うつもりはないけど、αという未知なる存在が分からなくなっていた。
俺はΩだから一生理解が出来ないのかもしれない。
理解が追い付いていないが、全て話さなくてはいけないと思っているだろう母は言葉を続けた。
『でもΩの数はαより半分も下なのよ』
「半分のαが運命の番がいなくなるのか」
『そう、勿論α同士やβと結婚するαはいるけど心と本能は別なのよ…心では愛していても本能はΩを求めている』
何だかαもエリートで社会的地位が高くて幸せの毎日…というわけではないのか。
もしかしてあのΩが襲われる事件もヒートだけではなく本能がそうさせていたのかもしれない。
それでもダメなものはダメだから同情は出来ない。
それに俺はもうαではなくΩの立場になったんだ。
もう俺には関係ない話なんて思えなくなった、容姿とかを無視してもしかしたら襲われるかもしれないのだから…
俺は…どうなるんだろうか、毎日恐怖で怯えていなくてはいけないのか?
「母さん、αの本能と俺がαになったのになにか関係があるの?」
『…えぇ、蒼は政府の実験台になったのよ』
「は?政府!?いくらなんでも話が大きすぎないか!?」
『検査を受けたその日に選ばれた事を政府から聞いたのよ、最初母さんも信じられなかったわ……この話は蒼がΩ以上に話してはいけない内容なのよ』
「…それで、その話って」
勿体ぶらずに話してほしい、手汗も掻き出してしまい心臓の鼓動が早くなる。
母は俺にこう話した、俺は政府の実験に使われたと…
あまりにも現実離れな話でしばらく理解できなかった。
俺のような何処にでも居そうな男を実験?何のだ?
政府はΩを使って何をしようとしているんだ?ニュースではやっていないから極秘で…
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