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ごくっと生唾を飲み込み、母の次の言葉を待つ…その時間がとても長く感じた。
『今までは一人だけだと言われていたけどΩは何人と番になれるのか、その実験よ』
「な、んだそれ…だからΩをαの学校に通わせるのか?」
『えぇ、でも昔は今よりΩ差別が激しくてなかなかそんな実験が行えなかった、Ωが虐められαを恐れてしまったから…そして蒼が生まれたその日に、混同だった学校が性別に別れてしまい本格的に実験は困難になった、だからΩを一人αの学校に通わせ実験を行う事にした…でも表だってΩを通わせたなんて知られたらまずいからαとして通わせたのよ…蒼の前に何人かいたみたいだったけど様々な理由で失敗していたみたいなの、だから蒼に白羽の矢が刺さったのよ』
それが……俺が今までαとして生きてきた理由なのか?
政府の実験に利用されただけの人生だったのか?
ショックが大きすぎて上手く言葉に出来なかった。
母は俺がΩだと知っているのは政府と両親と学園の理事長だけだと言う。
両親に罪はない、母は『今さらで言い訳にしか聞こえないけど私達も蒼を危険な目に会わせたくなくて必死に抵抗したけど、話を聞いた以上協力しないなら蒼になにか危害を加えられると言われて…本当にごめんなさい』と脅されているようだった。
それでも俺への愛情は本物だと分かるから俺は責めない。
俺だって家族を人質に取られたら安全な方を選ぶだろう。
そう、無事に済む方法がたった一つだけあるんだ。
『学校は私達が決めていいっていう理由だったから寮だけは安全で同室者がいない場所がいいと思って、学費なんかは政府が出してくれるみたいだから気にしないでね』
「…そっか、それを聞いて安心した」
全く安心していないが母を心配掛けないようにそう言う。
幸い情報漏れを恐れて例外なく周りは俺がΩだと知らない。
だから中学では普通にαとして過ごし卒業出来た。
政府の考えでは俺のヒートを期待しているのだろう。
薬が効かなくなるほど強いヒートを起こせば俺が一発でΩだとバレる。
それからは分からないけど、無事では済まないだろう。
俺は毎日薬を飲み続けたおかげでヒートを起こした事がない。
なら、俺がαのフリをし続けていれば卒業出来る筈だ。
大学は行かず就職すれば政府はもう俺達には用無しだろう。
外に出てしまえば学校という監視下から出る事になる。
何処に就職するかも、長くいるか分からない職場まで政府は追いかけないと思う。
それよりも新しい実験体を見つけて調べた方がいいと俺は思う。
Ωを何だと思っているんだ、こんな事しないで自由に番になった方がいいのに…
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