第一話

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いろいろ言いたいが一一般人が政府に意見なんて出来ない。 きっと政府は結果が出るまでこの実験を続けるのだろう。 「母さん、俺の他に今実験している子いるの?」 『今は蒼だけよ、何人も同時に実験してしまうと情報管理が難しいみたいで…政府もいろいろと忙しいみたいで』 「…俺は別に番を作らなくてもいいんだよな」 『結果は求められていないわ、だから母さんは蒼を巻き込んでしまった罪滅ぼしで蒼には安全に過ごしてほしくて』 「だから俺がΩだって言わなかったの?」 『元々αだと思えば蒼も周りも気付かないでしょ?蒼は隠し事下手だから』 確かに嘘を付くのは得意ではない、よく目が泳ぐと言われている。 だからΩだと知った今、上手く隠せるか不安だ。 でも隠さなきゃ、Ωだとバレた後が怖くて想像したくない。 遅すぎたんだ、気付くのが…入学する前から知っていればもっとなにか出来たかもしれない。 思えば病気になった時も母は医者と話していて俺は待っていたり軽い検査を受けただけだった。 そりゃあ保険証は俺がΩだと書いてあるし医者も分かっているだろう。 何も気にしなかった俺はバカだなと苦笑いする。 母は俺がこんな電話をしてくるから『誰かにバレたの?』と聞いてきたから、しばらく沈黙してから「薬を見て気付いた」と言った。 良かった、今顔を見られていたらきっと目が泳いでいただろう。 譲の事は言えなかった、余計な心配を掛けたくない。 まだバレたのは譲だけだ、どうにか誤魔化せばいい。 母に薬がなくなった事を伝えたら、母が送ってくれると言った。 速達で送るけど明日ヒートになる危険があるから外出はしないようにときつく言われた。 明日は学校休んだ方がいいな、授業中にヒートなんて起こしたら大変だ。 「…政府は俺がΩだってバレたら実験にはいいだろうけど、他のαが実験に気付いたらマズいんじゃないか?」
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