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銀髪にキラキラと輝く短髪に切れ長の瞳の色は青い。
第一印象は冷たい雰囲気のその人はそこにいた。
人というより神が産み出した子だと言われれば納得してしまうその人間離れした容姿に目が逸らせなかった。
その時、昔のぼやけた記憶が鮮明になっていく。
小学生の頃憧れたα…あんな人になりたい…そう思っていた。
きっとあの時の美しい少年が大きくなったらこんな感じなんだろうなとボーッと考えていた。
心臓がうるさい…でもヒートはしていない、薬を飲んだばかりだからかまだ大丈夫。
「…これ」
「え…あ」
綺麗な傷一つない真っ白な指が近付いてきてビックリして後退る。
怯えたような顔をする俺を見て眉を寄せるその人。
金属が軽く擦れる音が耳に聞こえた、これは何の音だ?
ボーッとしながら手元を見るとさっき見ていたネックレスがあった。
戻そうと思ってそのまま持っていた事を思い出す。
もしかして彼が言っている泥棒って、これの事?
「ちっ、違います!たまたまそこにあって!」
「そう…じゃあ返して」
誤解されたら嫌だから必死に水飲み場を指差す。
その人は理由に興味はないのか軽く返事をして手を差し出す。
俺は手を伸ばして彼にネックレスが返すとあまり表情は変わらないが満足そうだと感じた。
そして俺に興味をなくしつ俺に背を向けてしまった。
少し寂しく感じたが何故そんな悲しく感じるのかは分からなかった。
何もなくなった手を握り、その人を眺めていた。
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