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銀髪の人の背中にぶつかったと気付きすぐに離れて謝る。
思いっきり服を掴んでしまったがシワになってないだろうか。
でも確認とはいえべたべた触るわけにもいかないよな……どうしよう。
気にしてなさそうだったが弁償した方がいいのだろうか、αはお金持ちが多いけどシワの制服は恥だと思ってそうで…
……偏見みたいになってしまった、そんな人ばかりではないのは十分分かってるんだけどな。
そこで足元になにかがある事に気付いた…そして目を見開いた。
俺のより形が少し違うけど、透明なプラスチックの容器。
……その中で目立つ色をする青と白のカプセルを…
銀髪の人は俺が下を向いて固まってるのを見て下に目線を向けた。
落としてしまった事に気付き、特に慌てる事もなく普通に薬入れらしきものを拾う。
あの薬は毎日見飽きるほど見ている………もしかして、俺と同じ…
「…その、薬…貴方の?」
「あぁ」
銀髪の人は何の迷いもなく当然のようにそう答えた。
こんな誰がどう見ても完璧なαの中のαみたいな人が、Ω…?
もう一人の茶髪の人は銀髪の人が着いてこない事を不思議に思い戻ってきた。
この人は銀髪の人がΩだと知っているのだろうか。
小さな容器をズボンのポケットに押し込むのを呆然と見ていた。
茶髪の人は銀髪の人の肩に腕を回して身を乗り出していた。
「なーにしてんの?」
「アレ見て…何故か壊れた」
「え……あれ、おめ…Ω??えぇ…じゃあ、ど…どういう」
「ぷっ、あっははは!!!」
俺を指差して茶髪の人はバシバシと銀髪の人を叩いて爆笑していた。
銀髪の人は「痛い、やめろ」と訴えているが全く聞いていない。
ツボに入ったのかなかなか笑うのを止めてくれない…俺、なにか変な事言ったか?
茶髪の人はまだ少し笑っているが、俺の前にあの容器を見せた。
銀髪の人のポケットから板の間にか拝借したのだろう。
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