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少し振ると薬同士がぶつかりカシャカシャと音を響かせる。
俺が見慣れたあのカプセルだ、見間違う筈はない。
茶髪の人は銀髪の人がΩだと知っている様子だった。
しかし俺にもバレたのに何故銀髪の人は焦らずずっと無表情なんだ?
茶髪の人もいい加減笑いを引っ込めてほしいものだ。
「あー腹いてぇ、久々に爆笑した!」
「……」
「そんなに睨まないでよ、可愛い顔が台無しだよ?」
茶髪の人の軽そうな言葉に俺も無表情になり黙る。
誰が可愛い顔だ、俺の顔は普通だけどちゃんと男だ。
Ωは女性的っぽく思われていて男でも中性的や可愛い顔の奴がいるらしい。
しかし俺はαの時にも散々言われたβ顔だ…つまり何の特徴もない。
…本当の事だからこそ自分で言っててなんか悲しくなってきた。
だから男らしい顔立ちのαから見たらΩやβは可愛く見えるだろうな…全然嬉しくないけど…
「コイツ、コレがないと倒れちゃうんだよ」
そりゃあそうだ、Ωの必須アイテムなんだから…
ヒートを体験した事がないからまだ分からないがヒートは苦しいという。
番がいないΩは特に地獄だとテレビで見た事がある。
だからそんな地獄から解放されるための抑制剤だ。
しかし初対面の俺から見てもなんか仲がいいな、この二人…
三人目のΩはさすがに考えにくい、もしそんな事があったらいよいよ政府が実験以外のなにかをしようとしてるように思えるぞ?
となると茶髪の人はαとなる……Ωとα…もしかして、この二人…
「もしかして、お二人は運命の番ですか?」
「え…何それ、冗談でも言わないでよ…怒るよ」
「…ごめんなさい」
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