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譲はどう言ったらいいか戸惑うような顔をしていたが、苦笑いしながら俺に言った。
「さっきは蒼と話し合わずに酷い事言っちゃったから、お詫びに今日は奢るよ」
「…え、でも悪いし」
「お願いだ、俺に奢らせて」
譲に頭を下げられて俺は友達にそんな事してほしくなくて顔を上げてくれと言った。
譲がそれで気がすむなら俺は譲に奢ってもらう事にした。
一番安い焼肉丼にしよう、金持ち学校にもこんな庶民的なものがあるんだなと驚いた。
数は少ないが俺みたいな一般庶民もいるから当然か。
正直ほとんどの料理が英語で何の食材か分からなくて高い料理は頼む事がないだろうなと思っていた。
料理を頼み、やってくる間の時間…俺は譲に話した。
嘘がバレないように若干下を向いて口を開いた。
「…ビタミン剤?」
「そう、なんだ…抑制剤と似ててさ」
間違わないように、動揺が声に出ないように俺は譲に話した。
そのビタミン剤は抑制剤に似ているから有名なのか知っているようだった。
俺は薬局とか行かないから分からなかった。
知ってたらもっと上手く出来たのにと悔やまれる。
俺が逃げた理由はビタミン剤をΩの抑制剤だと言われたからだと言った。
ビタミン剤のところ以外は本当だった。
俺は自分がもしかしてΩなのではないのかと疑い、動揺して、そしてパニックになった。
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