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突然肩を掴まれて耳元で声が聞こえて俺達は言葉にならない叫び声を上げて腰を抜かした。
それを見てニタニタ笑う、全身真っ黒の怪しい人。
黒い髪は手入れがされていない感じにボサボサで黒いくたびれたパーカーを着てフードを被っていて素顔が半分隠れていた。
軽く恐怖で俺と譲は震えながらその人を見ていた。
周りの上級生達は面白そうに笑って見ているだけだった。
これって日常の光景なのか?誰も助けてくれないこの状況で俺達は何も出来なかった。
「その着慣れない新しい制服、新入生だね」
「…は、はい」
「名前は?」
「た、立花蒼です」
「君は?」
「ひぃっ!あ、あぅ…」
名前を聞いてきたから素直に答えたが譲は舌が回らず言葉を発する事が出来ず、「あ」とか「う」とかしか言わない。
人は見た目で判断しちゃいけない、それはΩ差別と同じになってしまう。
脅かした事以外なにかこの人がしてきたわけではないから俺は譲の代わりに譲の名前を伝えた。
すると黒いパーカーの人は自分の腰に手を当ててなにかを取り出した。
じゃらじゃらと音を奏でるそれは鍵の束だった。
よくテレビで管理人や警備員が持っているようなものがそこにあった。
見た目は警備員には見えない。
じゃあもしかしてこの寮の管理人さんだろうか。
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