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「あ、これこれ…はいご入学おめでとう」
そう言ったパーカーの人に鍵を一つ手渡された。
放心状態の譲にも手を開き握らせた。
俺は何も知らず驚いた事を謝った。
いくら怖くてもいい気はしないだろうとそう思った。
するとパーカーの人は「新入生を脅かして怯えさせるのが毎年の楽しみだから気にしないで」とケタケタと笑っていた。
笑い方が独特というかなんというか、ちょっと怖く感じた。
「この寮は一人一人生徒のプライベートを守るために部屋の鍵は入学説明会の時に取った指紋なんだよ」
「…そういえば指紋をなにかスキャンしてたな…じゃあこの鍵はなんですか?」
「指紋認識するタッチパネルを開く鍵だよ、部屋一つ一つ鍵が違うからね…ちなみに鍵が開いても部屋主以外の指紋をタッチパネルが認識したら僕に知らせられるから悪さはしないでね」
「それ以外なら犯罪以外なら自由に過ごしてくれていいよー」と言い管理人さんは歩いて何処かに行ってしまった。
管理人が居なくなったところで譲はやっと我に返った様子で立ち上がった。
俺も立ち上がり多分聞いていなかった譲に話した。
自分の指を見つめる譲に俺も自分の指を見る。
指に少しでも傷があったら認識出来ないからな。
入学説明会は大きなホールで、行われていたから校舎を見たのは今日が初めてだった。
指のスキャンなんて何に使うかずっと分からなかったがようやく分かった。
鍵には部屋番号のシールが貼られていて、俺の名前と「盗難防止に番号を覚えたらこのシールを分からないように破り捨ててね」という注意書きが書かれていた。
もし鍵を落とし部屋番号と名前が分かったらタッチパネルに鍵を付ける意味がなくなるしなと思いつつ無くしたら一生持ち主が分からなくなるなというデメリットがあるから絶対になくさないようにしようと思った。
譲と部屋を確認し合う。
譲は四階の廊下の奥の角部屋で俺は二つ離れた場所だった。
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