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「じゃあ荷物整理したら探検行こうぜ!」
「分かった」
譲は子供に戻ったように無邪気に笑った。
俺もいろいろ見て回るのは嫌いじゃない。
エレベーターもあったが何だかこの時間は少し混んでて人混みが苦手な俺達はちょっと疲れるけど階段を目指して歩いた。
部屋の前に到着して鍵穴にもたつき、慣れなくてちょっと手間取ったが何とか入れてドアを開ける。
電気をつけると真っ暗だった部屋の中を明るく照らした。
寝室とリビングは分かれていてまずはリビングに向かった。
カウンターキッチンに大きな冷蔵庫、ソファー、テーブル、テレビなどすぐに生活出来そうなほど備え付け家具が揃っていた。
洗面所と風呂場も覗くとゆったりとくつろげるほど広かった。
さて、このくらいにして寝室にあるであろう荷物を片付けよう。
実家から必要なものだけ荷物に詰めて量は少ないからすぐに終わるだろう。
寝室に行くと片手で数えられるくらいしかないダンボールが重ねられて置いてあった。
その一つを持ち床に置いて荷造りした時にガムテープが簡単に剥がせるように先の部分の端を三角に折っていた。
それを摘み、反対方向に引っ張るとビリビリと大きな音を立ててガムテープが剥がれていく。
ガムテープを丸めて後でまとめて他のガムテープと一緒に捨てるために横に置き、中身を開いた。
そして俺は少しの間固まった。
正直なところ俺は荷造りが苦手で着る服の荷造りしかしていなくて後は母任せだった。
服とか歯ブラシとかそんなもんだけかと思っていたが、思えばこんなにダンボールがあるのは変だ。
でも今その正体が分かりなんとも言えない顔になった。
ダンボールの中に無理矢理入れられ、窮屈そうな顔でこちらを見るものをダンボールから取り出した。
手に柔らかい感触が気持ちいい…丸みのある耳に触れる。
「…くまのぬいぐるみって、母さん…俺いくつだと思ってんの?」
呆れを通り越して無意味な笑いが出てくる。
確かに小学生の時までぬいぐるみが好きで集めていたのは事実だ。
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