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見た目というより触った時の感触が好きだった。
…しかし中学に上がった時は周りには大人びたαばかりで自分も大人にならなくてはと部屋の押入れの奥に置いた筈だ。
もしかしてわざわざ押入れから出したのか?と思ったがどうやら新品みたいで埃一つない。
良かれと思って送ってきた母が目に浮かぶ。
捨てるわけにもいかないし、送るのも母が可哀想だから仕方なくベッドの脇に置いておく。
この部屋は押入れはなくクローゼットがあるだけだ。
クローゼットに巨大なぬいぐるみを置くと今後使わなくなった季節の布団とかをしまえなくなるから仕方ない。
誰かを寝室に呼ぶつもりはないから平気だろう。
譲を部屋に招いても寝室は見せなきゃいい。
くまのぬいぐるみ一つで一気にファンシーな部屋になったな。
そして荷造りを終え、ダンボールを潰してクローゼットの中に入れようとしたところで自室のチャイムが鳴った。
俺の部屋に来るのは譲だけだろう。
ダンボールを入れてクローゼットを閉める。
急ぎ足で玄関に向かいドアを開けると譲が手を上げて挨拶してきた。
「探検行こうぜ!」
俺はまだ制服だったので一度部屋に引っ込んでTシャツにジーパン姿になり財布と鍵をポケットに押し込み部屋を出た。
譲は説明会の時に配られた寮の見取り図を見つめながら歩き出す。
寮は五階建てで、二階が三年、三階が二年、四階が一年のフロアになっている。
だから探検するなら部屋がない一階と五階だろう。
俺達ら四階にいるからまずは五階から行った方がいいだろう。
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