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「…うっ、ふ、んっ…!!」
なんだこれ、なんだこれ、なんだこれ!!
急にずくっと下半身が熱くなったと思ったら腹の奥が激しく疼く。
もしかして、これが…ヒート?
早く部屋に帰らなくては…エレベーターはダメだ…なら階段だ。
そう思っていたら奥から人の話し声が聞こえた。
ダメだ、階段は一つ…帰れない。
ヒートの匂いが気付かれたら、おしまいだ。
早すぎるだろ…と自分の不運を呪った。
とりあえず曲がり角に隠れたが、こんな場所…すぐにバレてしまう。
俺は覚悟して目を閉じた。
「ん?なんか匂いしね?」
「え?これヒートの匂いじゃ…誰か連れ込んでるのかよ」
声が匂いの主を探そうと走り去る足音が聞こえて、少ししたら聞こえなくなった。
俺は口を押さえられて声が出せなかった。
誰だ…?後ろにいる奴には俺がΩだってバレているだろう、こんなに近くで匂いを嗅いでいるんだから…
でも、あまり興奮しているようには見えない。
それどころか後ろにいる彼の体臭を嗅ぐと余計酷くヒートが悪化している。
Ωのヒートの匂いはΩには効かない…じゃあ、これはαの…
「お前、Ωだったのか」
「ふっ……んんんっ」
耳元で話さないでくれ、本能がαを求めて暴れている。
苦しい……
ここは何処なんだろう。
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