第二話

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いきなり腕を引っ張られてここに連れてこられたけど、真っ暗で何も見えない。 俺、どうなるんだ?…バラされるのか? それとももっと酷い… 「薬は?」 首を横に振った。 今日宅配で送られて多分譲が持ってる。 でもこの状態でうろつけないし、譲が何処にいるか分からない…部屋にいればいいけど… Ωってずっとこんな苦痛と戦っていたのか、他人事だったけど…もう他人事ではない。 口を塞いでいた手が離れて、支えるものがなくなり床に座り込む。 身体が震える、熱い…苦しい…助けて… 「ヒートを抑える方法は知ってるか?」 ヒートを抑える方法なんて…ヤるしかないじゃないか。 それだけは嫌だ、こんな訳わかんない状態で知らない奴となんて… 俺の姿が見えてるか分からないが首を横に振る。 しかし、俺にゆっくりと近付く足音が聞こえた。 何の目的か分からず怖くて部屋の奥に避難する。 嫌だ、来るな…俺は…俺だって好きでヒートを出したわけじゃ… 『ヒートのせいだ』 『Ωが悪い』 あぁ…なんでこんな時に嫌な事思い出すんだよ。 テレビの中でαの学校でΩを侮辱する言葉が頭の中で回り、下を向き身体を小さく丸める。 すると俺の視界に影が落ちたと思ったら不意に引き寄せられた。 暖かな温もりに包まれて目を見開き驚いて固まる。 ヒートで苦しいのに、その優しさが今は安心出来た。 …なんでだろう、運命の番ってわけじゃないと思うのに………違うよな?
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