第二話

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「…あの、終わり…ました」 「……そうか」 生徒会長は相変わらず無表情の顔をしていて俺に手を差し伸ばした。 俺を部屋まで送り届けてくれると言ってくれた会長に甘えた。 今日が初めてだったからよく分からず、また帰る途中でヒートしないとも限らない。 それに…今後の事について聞きたい事があった。 会長には俺がΩだって知られてしまったわけだし… 俺がαとすれ違う度にビクビクしていたから壁側に俺を移動して歩いてくれていた。 こんなにいい人で男前で紳士的なαならΩがほっとくわけないよな。 会長って運命の番いるのかな?副会長には全力で否定されたけど… そんな素振りは見せないけど、そもそもこの学園にはαしかいないから当たり前か。 そんな事を考えていたら俺の部屋の前に到着した。 「じゃあな」 「あ、あの!少し、お話いいですか?」 生徒会長が一生徒に構う暇なんてない事は分かってる。 ……でも、これだけは聞きたかった…どうしても… 廊下では話せない、誰かが聞いているかもしれないから。 会長は少し沈黙して考えて静かに頷いた、良かった…断られたらどうしようかと思った。 まさかこんな早くに人を招くとは思わなかった。 そしてドアノブにビニール袋がぶら下がっていた。 俺の買い物袋はずっと手に持っている、じゃあなんだ? 中身を確認するとそこにあったのは宅配便の小さな紙包みだった。 誰からだろうと差出人を見ると実家の住所が書かれていた。 じゃあこれは昨日話した抑制剤が入っているのか?
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