第二話

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なんか会長とコイバナって妙に緊張するなぁと意外と楽しんでいたら会長からの予想外の言葉を聞いた。 やっぱりこんなに素敵な人ならいるよな…って、え?たぶん? 運命の番なのに自分で分からないのか? 俺は運命の番が現れた事ないから分からないが本能でこの人だって求めるものではないのだろうか。 会長は何故か首を傾げて考え込んでしまった。 悩むほどの事を言っただろうか、運命の番がいるかいないかの単純な話だと思う。 「俺の番は悦が調べただけでも157人いるらしい」 「……はい?」 えっと、ちょっと待って……番って一人だけじゃないの? というかΩ自体世界中で10万弱しかいないのにそんな事あり得るのか? 俺とは逆のαサイドで実験をしてるようにしか思えないが、αの実験の理由が分からない。 それに本人は首を傾げているから本人もなんでそんなにいるのか分からないようだ。 ……そんな事が現実にあるのか?確かに会長はΩの理想そのものだろうけど… 副会長が調べたのか、大変だったな…くらいの感想しか出ない。 「えっと、つまり…」 「俺はαだと分かった小学校から今までいろんな奴に運命の番と言われてきたから誰が本物か分からない」 「も、モテモテですね…生徒会長自身はどうなんですか?」 「…あまりぴんとこない」 じゃあその157人の中には運命の番はいなかったんじゃないかなと思う。 運命の番って死ぬまで離れない魂の繋がりって聞くし、本能が求めた人が運命の番なのだろう。 もしかして門前で待ってた人達にも言われてそうだな。 確かにαの中のαだし、運命の番になりたいって思うΩはたくさんいるだろう……お、俺はまだΩだって意識したばかりだから他の事はまだ考えられないけど… 壮絶な人生だったんだろうなぁとは何となく分かる。 またお茶を一口飲み込み、会長はため息を吐いた。 「悦に言わせれば俺はヒート製造機らしい」 「……え、なんですかその怖いものは」 「俺の匂いを嗅ぐとヒートしてしまうみたいなんだ、滅多に嗅がれる事はないから自分から近付かなければ何も怖い事はない」
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