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蹴った本人の副会長も同じように響先輩を睨んでいる。
俺には分からないがなにかあって響先輩は逃げていたって事だよな?
響先輩はもう寝るどころではなくなったからかベンチから上半身を起き上がらせた。
俺は少し気になってしまい去る事を忘れて野次馬のように傍観していた。
響先輩が大きなため息を吐いて面倒そうな顔をしていた。
しばらくの重い沈黙を破ったのは響先輩だった。
「…身内問題に俺を巻き込むなよ」
「響がアレを挑発したから巻き込まれたんでしょうが!」
「……なんか、つい」
「ついで済んだら俺も苦労しないの、本当どうするつもりなのアイ…ツ?」
副会長が怒っている時、ふとこちらを見られ目が合った。
俺の存在に今気付いたのか驚いているみたいだ。
俺は盗み聞きをした後ろめたさで副会長に頭を下げる。
副会長は首を傾げて響先輩に「…あれ、見たことある気がするんだけど、誰だっけ」と言っていた。
響先輩はチラッと俺を見て「お前の落し物を拾った奴だろ」と素っ気なく答えた。
副会長はやっと思い出して、さっきの苛立ちを感じさせないようなにこやかな顔でこちらにやってきた。
「あの時はありがとう!で、なんでここにいるの?」
「お…昼ごはんを食べてて、もう行きます!」
「え?そう?」
俺はもう一度副会長に頭を下げてから逃げるようにその場を去った。
響先輩が俺を見ていて「面倒な事になる前に帰れ」と言っているような感じがした。
確かにΩだって響先輩にバレた時は正直響先輩だったから何もなかったんだ。
言い方失礼だけど副会長はなんか口が軽そうで言いふらさない確証がなかった。
今日はたまたま会ったけど、もうお礼は言ったし…普通の生徒同様生徒会には近付かない方が安全だ。
教室に戻るとまだ譲は帰っていなくて、昼休みの時間のんびりだらだらと過ごしていた。
ふと窓から裏庭が見えた、下を覗くと響先輩と副会長ともう一人知らない人がいた。
金髪のロングヘアーで西洋の王子の格好をしている……変な人?
会話はここからじゃ聞こえないが副会長が金髪の人になにか言っている。
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