第一話

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校舎の中に入ると真っ白な壁にシャンデリア、柔らかい真っ赤なカーペットが敷き詰められてる廊下に驚く。 何処の王宮だよ…とツッコミを入れたくなった。 落ち着かない気分を紛らわすために譲と出身中学の話をして盛り上がった。 譲が俺の出身中学を聞き「あの田舎中学かぁ」と失礼な事を言うから睨む。 確かに田舎中学だが、出身中学でもない奴に言われたらなんか腹が立ってしまう。 そりゃあ譲が通ってたそこそこいい中学よりは一部劣るけど、よく言えば自然豊かな中学校だ。 それにαの通う学校なんだから中身は一緒だと思う。 急に黙る俺に譲は慌てた顔をして「田舎中学でも空気美味そうじゃん!」と変なフォローを入れている。 なんか憎めない譲に苦笑いして怒るのを止めて田舎中学でもいいところは沢山あると熱弁した。 そして廊下の壁に貼られた紙に書かれたクラス表を頼りに自分のクラスを目指す。 三クラスあり、俺と譲は運よく同じクラスになった。 教室に入ると生徒の半分以上が窓に張り付いて見ていた。 きっと門前にいたΩの集団でも見ているのだろう。 エリートのαなのにあんなに大量のΩは見た事がないのだろう、興味津々だった。 しかし外でΩを襲う騒ぎなんてしたらαのエリート人生を狂わせてしまうからやらないだろう。 誰も見ていないところで何しているかなんて分からないけど… αだって一人の男だという事なんだろうな、同意があるなら別に構わないけど。 この学校には女の子もいるのに…まぁエリートの娘とか一番軽く手を出しちゃいけない相手ではあるな。 あ、そうだ…後で持病の薬飲んどかないといけないな。 まだ今日の分を飲んでいなくて入学式が終わってからでいいだろうと思っていた。 自由に席に座っていいみたいで俺は後ろの窓際、譲は俺の隣に座った。 高校生活は誘惑の連続だと中学の同級生達と話していた。 まだ子供だから運命の番とか気にせず気軽に付き合ったり大人の真似事なんてしたりして今から楽しみで昨日の夜は一睡も出来なかった。 だから今、朝陽が差し込みポカポカ陽気に目蓋が重くなる。 窓際にしたのは間違いだったか、眠い…ちょっとくらい仮眠してもいいよな。
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